部屋の中は温かい。
温かいどころか、互いの熱で汗ばむくらいだった。
先にシャワーを使ったリカがバスタオルを巻いてバスルームから出たのと入れ替わりに大祐がシャワーを使う。
大祐が出てきてトランクス姿で濡れた髪を拭いて出てくると、リカがベッドの上に丸くなって座っていた。
「リカも水、いる?」
「……うん」
「はい。……あれ?」
いつもなら恥ずかしいと言って、速攻で着替えてしまうリカなのに、柔らかなバスタオルにくるまってベッドの中にいたリカはまだ素肌のままだった。
水を差しだしてから受け取ったリカがこく、と飲んで、ベッドサイドにペットボトルを置く。
膝を抱えたリカの傍に下着だけで潜り込んだ。
横になると、前だけはしっかり隠しているものの、リカの白い背中がほぼ丸見えになっていて、尾てい骨ぎりぎりまでが見え隠れしていた。
「……いい眺めだけど、風邪ひくよ?」
リカの背中が見えるベストポジションから少しだけ頭を上げて、真っ白い背中の真ん中に柔らかなキスを落とした。
「うん……。なんかこうしてると、ちょうどいいんだもの」
「暑い?エアコン止めようか?」
「ううん。今がちょうどいい。なんかね……なんか」
腕を回して、リカからバスタオルを引っ張る。驚いて、顔だけ振り返ったリカにベッドが濡れちゃうよ、と言いくるめてバスタオルと奪い取った。
代わりにブランケットを自分の体の周りに引っ張りよせた。
今度は半分だけ腰のあたりまで隠れたが、大祐が寄り添っている側は、素肌で膝を抱えている姿が隠されることなく見えている。今度は手を伸ばして脇腹ぎりぎりのラインをヒップからずっとなぞって肩先までたどり着く。
「……なに?なんか、ばっかりだよ」
笑いを含んだ大祐に、少しだけ顔を向けたリカが、膝の上に頭を乗せた。
腕の間からリカの柔らかな胸のふくらみが見え隠れしているのもいい。つん、とつつくと、ぱしっとその手を払われた。
「怒られた……」
「せっかく……、なんかこうしてると気持ちいなぁって思ってたのに」
気だるく呟いたリカの腰に腕を回して横になった姿勢のままで腰のあたりに何度も口づける。
柔らかなキスの音が繰り返されて、横向きになった大祐の体にリカが寄り添った。
「重くない?」
「平気だよ。リカの体、気持ちいいね」
上半身は何も身に着けていない大祐の体に寄り添ったリカの体は、少しだけ大祐よりも冷たい。
「気持ちいいって、何浸ってるの?」
「ひたってる……?」
「違うの?」
「そうなのかな……」
そのままではいずれ冷えてしまって、いくらなんでも風邪をひく。ぐいっと両腕でリカの体を抱き上げて大祐の腰のあたりに頭を乗せていたリカを引き上げた。
「聞いていい?」
両手でリカの顔を包み込んで、とろんと眠そうな顔のリカに顔を寄せた。
「なあに?」
「ふふ。リカが何にひたってたか」
ぼうっとしているのかリカがよくわからないという顔をしているのを見て、くすっと笑った大祐がさっきリカの背中にしたように、ゆっくりと柔らかい口づけをする。
「……そんなに気持ちよかった?」
「……っ」
わかりやすく目を丸くしたリカが大祐の手から逃れて、顔をブランケットに隠してしまう。
「リーカーさん?」
「わ、わかりませんっ。そんな、そういうことじゃないし!ただ、なんか、だから、シャワーしてきてあれだからっ」
「なんかとか、だからとか、あれって言われてもわからないよ?」
くっくっく、と笑いながらいう大祐に両腕を突っ張って離れようとする。
「待って待って。いくらなんでもそんなに冷えてたら風邪ひいちゃうよ?」
「だって、大祐さんが、変なこと言うからっ」
「変なことじゃないよ?それはやっぱ、聞きたいでしょ」
それは、やはり男としては満足してもらえたかなというのは、聞きたくなる。もちろん、散々感じていたことはわかっていたとしても。
ばさっとブランケットから顔を出したリカが、むぅ、っとした顔で大祐の肩を押した。
「……大祐さん、向こうむいて。冷えてるっていうなら私が大祐さんにくっつくもの!」
「え?……はい?」
「いいから向こうむいて!」
「は、はい」
よくわからないままリカの勢いに押されて背を向ける格好になった大祐の背後からリカが腕を回して抱きついた。
「こうしてぴったりくっついたら文句はないでしょう?」
「い、いいけど……なんていうか、あの、いろいろ、なんか」
「さっき、大祐さん、私にいいましたよ?なんかとか、だからとか、わからないって」
してやったり、というリカの声に、大祐は目を閉じた。