「うるせっ。余計なこと言うんじゃねぇよ」
ぴしゃりと話を打ち切ろうとした片山に、困った人だ、とため息をついた比嘉が、ゆっくりとした口調で釘を刺す。
「片山さんの気持ちはわからなくもありませんが、そんな風に相手の方の気持ちを量るような真似は、どうかと思いますけどねぇ」
いつもどおりのやり取りではある。だが今日は、片山は少しだけその横顔に痛みを走らせたままで、何も言い返さずにビールを煽った。
一瞬の沈黙は、それぞれに複雑な何かを感じさせた後、携帯の振動に気づいた藤枝が席を立ったことでそう言えば、と鷺坂が口を開く。
「柚木はどう?」
「あー、はい。おかげさまで何とかやってます。もう職場復帰しようとして色々やってるみたいで」
「もう?まあ、自衛官だと保育園も入りやすいのかもしれないけど、ちょっと早いんじゃないの?」
アイツも聞かないからなぁ、という小さな呟きに周りの全員が頷いた。
槇も話はしたのだろうが、これからのためにとあれこれあの勢いでまくしたてられると仕方がない。あまり賛成はしていないが、したいようにさせているというのが現状だ。
「あのおっさんも相変わらずだな」
「典子がいたら、片山さんも同じだろって突っ込むよ」
「俺はね。……」
そう言いかけて携帯が鳴って、片山は懐から携帯を取り出した。
「……?」
かけてきた相手を見て、すぐに懐に戻したが、電話は鳴り続けていて、明らかに顔が動揺している。隣にいた藤枝がひょい、と上着を返して懐から携帯を抜き取った。
「あっ!!こら!!」
「なんででないんすか?」
「いいから!!返せって」
慌てた片山に届かないように片手を上げた藤枝は、ぴっと応答をクリックする。
「もしもし。片山さんの携帯です」
あぁっ!と声を上げた片山にしーっと指先を立てた藤枝は、電話の向こうの相手が名前を名乗ってどちら様でしょうか、と言うのを聞いてニコリと微笑んだ。
「帝都テレビの藤枝と申します。いつも片山さんにはお世話になっております。今日はせっかくの時間にこちらにいらしてもらって申し訳ないです」
その答えに、その場にいた全員の目が藤枝に集まる。
片山が手を伸ばしたのを大祐と槇が押さえこんだ。
「ええ。今日は横浜のホテルみたいですよ」
「あっ……!馬鹿っ」
勝手に藤枝は片山の泊まるホテルを告げると、今日は早めに解散しますんで、と言って通話中の携帯を片山に差し出した。
「はい。これからホテルまで向かうそうですよ?」
「なっ!!」
藤枝が携帯を差し出したのを合図に空井と槇が手を離して、携帯を掴んだ片山がばたばたと転がる様に表に出ていく。
それを見送った藤枝に、空井が、にやりと笑った。
「やりますね。藤枝さん」
「これが、稲葉や柚木さんだったらやりませんけど、男だったら容赦、いらないでしょ?」
ん?と片眉を上げた藤枝に、大きく頷いたのは比嘉と槇である。困ったものだと苦笑いを浮かべたのは鷺坂で、不思議に思ったリカは鷺坂の隣へと移動した。
「鷺坂さん。どうしたんですか?」
「ん?」
「片山さんのこと。デリケートとかおっしゃってましたけど」
困った顔をした鷺坂は片山が戻ってこないのを見て、隣に座ったリカの方を向いた。
今年も一年素敵な作品をありがとうございました。日々仕事に追われておりまして、帰宅して、作品を読ませて貰ってる時間がホッと出来るひとときでした。読ませて貰ってばかりですが、来年もよろしくお願いします。
カプリコ様
新年あけましておめでとうございます!ぎりぎりにもう一本あげました!
本当に日々、追われるようなことばかりですが、それでもまた楽しい時間を共有できますように。
よろしくお願いします。
今年も一年素敵な作品をありがとうございました。日々仕事に追われておりまして、帰宅して、作品を読ませて貰ってる時間がホッと出来るひとときでした。読ませて貰ってばかりですが、来年もよろしくお願いします。
カプリコ様
新年あけましておめでとうございます!ぎりぎりにもう一本あげました!
本当に日々、追われるようなことばかりですが、それでもまた楽しい時間を共有できますように。
よろしくお願いします。