「馬鹿野郎、相手は身内じゃねぇンだよ。先打ってかなきゃ間に合わねえだろ!」
「はい!申し訳ありません!」
なぜか広報官が総務班のところでひたすら頭を下げている。元空幕広報室、と言うだけではなく、外部研修を受けた人間は中には少ない。芦屋の広報官は取材を受けることも多いのに、今回はタイミングが悪く、経験のある広報官のほとんどが同時期に移動してしまい、経験の浅い広報官が背負う羽目になっている。
それだけに、経験のある片山のところにアドバイスを受けにくるのだ。
先方の持ち込んだ企画書と、内部での検討資料を見比べた片山が、そのラフな口調とは裏腹に女性のように繊細で達筆な字でメモ用紙に書き始めた。
チェックすること、用意する資料、内局の確認。
優先順位を付けて、何が必要なのかメモしたものを広報官にずいっと差し出した。
「ナルハヤで!これどおりにやってみろ。広報室に比嘉ってのがいるから困ったらそいつに泣きつけ。ごねたら俺が顔出すって言えば話は早い」
「ありがとうございます!!」
今にも泣きださんばかりの顔でメモ用紙と書類の束を受け取った広報官は頭を下げて走り出て行った。
「ったく、毎度毎度、面倒かけさせんなっつーの」
ぶつくさと文句を言った片山に、総務班の面々がくすくすと笑いだす。
「そう言いながらも班長、顔が全然違うんでちょっとムカつきます」
「馬鹿。違わねぇよ!」
ひらひらと手を振った片山は、机の上のコーヒーに手を伸ばす。机の上の資料を並べているところには、広報関連の雑誌も並んでいる。
口では文句を言いながらも面倒見がよくて、最後まで気にかけているところを見たら、比嘉だけでなく鷺坂は何というだろうか。
点滅していた携帯を開くと、婚活が実って、現在遠恋中の彼女からのメールが来ていた。
『和君。今日のランチは同僚の希望でパスタ。美味しくいただいて、席に戻る前にスタバのシーズンもののメイプルラテを買ってるところです。今週末の予定は立ちましたか?木曜日までに決まらなかったら諦めるので、また来週ですね』
それを見て、軽く眉をひそめた片山はスマホを裏返して机に置いた。
総務班は、ほぼ土日に休めなかったことはない。だが、イベントがあれば当然土日などなくなる。年末までは各基地ともに航空祭で通常業務の倍以上も忙しくしていたから、それ以来、必ずこういう質問が来るようになった。
忙しい時期はもう終わったと言ってはいるが、付き合いや何があるかわからないのが自衛官だという自負の元、片山は彼女の認識の誤解をいまだに解いていなかった。
彼女の名前は白木京という。
老舗の和菓子屋の一族という、いわゆるいいところの御嬢さんだ。直系ではないらしいが、親族の多くが関わっていて、彼女の家も相当なものらしい。お嬢様学校を出て本人は、大手企業に勤めている。
そんな京が、よく見合いに応募したと思いながらも一番可愛らしい雰囲気で、おっとりしている彼女に惹かれたというのと、他の見合い相手達は片山に引いてしまったが、京だけは、片山のノリにくすくすと笑いながら、可愛い方ですね、と返してきた強者だった。
横浜に住んでいる彼女とは月に何回会えるのか不定期極まりない。
それでも、今回を逃したらという思いもあって、片山にしてはかなり無理をして今週も横浜に向かうつもりだった。
用を作って、移動は職場のルートを使って費用を浮かしてはいたがまだ一緒に泊まるきかっけもつかめなくている。
「……久々すぎて、わかんねぇんだよ」
「……?班長なにか?」
「なんでもねぇ」
彼女が出来たのなど、何年ぶりだろうか。長続きしたこともなく、数年ぶりにできた彼女は見合いで知り合って、一応は結婚前提ではあっても、いいところのお嬢様とくればどうしていいのかわからなくなるのも無理はない。
なんとかしようといつも気ばかりが焦っていて、付き合いだして時間の上では三か月は立つのに、浮かれていたのは初めだけでもう面倒になってきていた。
自分が、面倒な男だという自覚がある分、どこかで相手を信じ切れていないのもあって、気持ちの上ではかなり負担に感じ始めている。
―― とにかく、今週は横浜だから泊まる場所、決めとかないと……
本当なら彼女の部屋に泊めてもらうところなのだろうが、今回も言い出せない自分が情けなかった。
キターーーーーーーーーーーーー!!
マジな片山ですね!きゃー!
わくわくします!!!
ムトウ様
大変お待たせしたよ!!ついに片山登場でございます。ぴろぽーずまでを行きたいっすね。何気に、あの人も結構展開早いので。
片山愛はだいぶマイノリティかと思いきや、結構需要があって・・・ねぇ(笑)
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マジな片山ですね!きゃー!
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ムトウ様
大変お待たせしたよ!!ついに片山登場でございます。ぴろぽーずまでを行きたいっすね。何気に、あの人も結構展開早いので。
片山愛はだいぶマイノリティかと思いきや、結構需要があって・・・ねぇ(笑)